カラスウリの花

帰宅途中にカラスウリが咲いている場所がある。夜咲く花だ。玉のつぼみが割れ、中からクモの巣のような、細い糸がからみあった花弁が現れる。繊細で脆い花だ。一晩咲いてそれきりだと思う。子どもの頃、毎年夏になると家の近くの竹薮一面にこの花が咲いていた。花はぼんやりと光っているように見え、夏草の匂いに混じって、ほんのりと甘い香りが漂っていた。幻想的な光景だった。
竹薮は駐車場になり、その後この花を見る機会はほとんどなかった。夜しか咲かないので、近くに生えていても気づかなかったのかもしれない。カラスウリの花だということも、比較的最近まで知らなかった。
道沿いのフェンスにこの花が咲いているのを見つけ、写真を撮ろうかと思ったが、夜中に柵の中にカメラなど向けると、今時はどう誤解されるかわからない。いくつか摘んで帰り、写真を撮ってみた。