トルコの写真/プリズナーNo.6

lithos2008-01-04

ウェブサイトLithos Graphicsのトルコの写真のページを作る。ずっと放ったらかしになっていたが、ようやくなんとか形になった。解説は入れず、写真と場所の名前だけ、それもカッパドキア内の具体的な場所名はもうよくわからなくなってしまったので、おおまかに済ませることでなんとか終わらせることができた。
トルコでは水が合わなかったのか、イスタンブールで食べたサバ・サンドかなにかにあたったか、気温の変化が激しかったからか、体調を崩した。私は途中で持ち直したが、嫁は脱水症状になり、旅行の終わりまでフラフラだった。カッパドキアで岩窟ホテルに泊まったのだが、夕食の後、珍しくデザ−トにチョコレート・スフレなど頼んでみたところ、どんぶり飯を逆さにしたくらいの巨大な山盛りのスフレが届き、中からドロドロに溶けた溶岩のようなチョコレートが流れ出しているという代物だった。出されたものを残すのは好きではないので、最後は脂汗を流しつつその活火山のようなチョコレートの山を平らげたが、夜半に悪寒が酷く、口から溶岩のようにチョコレートを吐き出すはめになった。翌日、ウェイターが「今日はチョコレート・スフレはいらないの?」と、意地悪そうに聞いたのだった。前日苦しそうに食べているのを見ていたんだろう。もう12年も前のことだが。

日中はケーブルテレビで「プリズナーNo.6」をやっていたので、少し見る。60年代末のイギリスのテレビドラマだが、かねてから大ファンなのだ。元諜報部員が何らかの事情で辞表を提出した後、何者かに拉致され、国籍も何もわからない奇妙な「村」で目覚め、「No.6」と名前を付けられて、「何故辞表を出したのか」と、問いつめられ続けるという話。村はカラフルな建物が並ぶ、南欧風の一見のどかな場所だが、村人は皆外から拉致されてきた人々で、常に監視されている。村独自の通貨が流通し、「村」のルール内での民主主義があり、精神的な服従を条件に不自由のない平穏な生活が与えられるが、村から出ることは許されていないし、村の責任者であるNo.2の命令は絶対で、逆らうと白い風船に追いかけられて窒息させられてしまう。主人公は何度となく脱出を試みるが、その度に連れ戻される。最後に姿の見えない最高権力者であるNo.1と対峙しようとするのだが、ビートルズのAll You Need is Loveが鳴り響き、「村」の秘密も何も放り出されたまま、誰が管理者で被管理者なのかもさっぱりわからないまま終わる。「村」の存在は、北朝鮮拉致、「招待所」の話など知っている現在の我々としてはかなりリアルな設定なのだが、制作時、これは全体主義への畏れと自らの「自由」な管理社会を重ね合わせた、アンリアルな悪夢だったに違いない。
村は「明るい地獄」なのだが、セットやデザインが実に洒落ていて、おそらくファンの多くはストーリーと同じくらい「村」の様子が好きなのだ。ドラマはセットではなく、ウェールズの北西の海岸沿いにあるポートメイリオンという実際にある場所で撮影された。一人の建築家が作った、南欧風というか国籍不明の村風のリゾート地で、現在も営業している。プリズナー・ファンが多く訪れるが、私も数年前に訪れた。「村」はドラマが撮影された後も増改築が進んでいたので、かなり印象が異なる部分があったが、どこまでも続く遠浅の海岸に「動かない船」が残っている。村はますます多国籍風悪趣味に溢れていて、金ピカの仏像などが置かれていた。プリズナー・ファンのためにショップがあり、中で「村」の制服や、「村」のバッジ、「村」のパラソル、「村」の地図(「村」の外の世界は一切書かれていない)などが売られている。