日曜夜、NHK教育で放送された「ETV特集 ネットワークでつくる放射能汚染地図」は力の入った企画だったが、Youtubeに全てアップされている。

事故の直後から自発的に原発周辺の放射能値を測定し、土壌や植物のサンプルを集め、研究者のネットワークによって「汚染マップ」を作ってきた木村真三氏らの活動を追ったドキュメントだ。木村氏は放射線衛生学者で、厚生労働省に勤めていたが、事故後に自主的に放射能汚染を調査することを禁じられた。即辞表を提出、現地に赴いて測定を始めたのだという。
20km, 30kmという圏外でも際立って放射能値の高いホットスポットがあることが詳細に報じられた。テレビなどで「心配ないレベルです」キャンペーンをしていた真っ最中のことだ。
許しがたいのは、調査するなと命じた厚労省だけでなく、早くから測定をはじめていて高濃度の地点があることを知っていながら、自治体にも、そこに住む人たちにも何の通達もしなかった文部省の不作為だ。これによって最も放射線量が高かった時期に何の対策もなされなかった場所がたくさんある。
非常に濃度の高かった地点の例として波江町の赤宇木が紹介されていたが、ここの濃度が高いことは文部省のウェブサイトに曖昧ながら掲示されていた。町長もそれを知っていたという。知ってはいたが、正式な通達が無いので、特に住民に報せることもせず、何も対策を施さなかったのだという。復興全般に言えることだが、国から何か指示が降りてくるのを待っていては地域の現実に則した施策は出来ないし、遅々として進まないだろう。福島県知事が「東電と国に裏切られた」と怒るのはいいとして、今は速やかに自主的に県内各地の汚染状況の詳細な調査とそれに則した対策を考えるべきだ。被災地の市町村単独では難しいことも、県レベルでならやれることはたくさんあるはずだ。
福島県だけではない。今週の『週刊現代』の記事にもあるが、文科省の線量データは高い建物屋上などに設置されたモニタリング・ポストなどの数値が多く、実際に地上1mほどで測定すると倍、あるいはそれ以上の値を示すところが都内でも少なくないという。大気中に舞っている物質の量は落ち着いたとしても、沈降したものがどの程度になっているかはより生活実態に則した測定をしなくてはわからない。

木村氏をはじめとして、自主的に汚染調査、汚染マップを作る活動をしている研究者達がいる。以下は国立天文台の石原吉明氏が作成したマップだ。


元データはPDFで以下にある。
http://t.co/ZavKCIv