南アフリカ岩絵撮影行 5日目

昨夜からずっと雨が降っている。こちらは真夏だが、雨期で、長ければ一週間雨続きということがあるようだ。今年は雨が全く少ないようだが、天気予報を見ると、ほとんど毎日雨マークがついている。

今日はこのエリアでもっとも重要かつ絵の状態も良いとされるKambergのGame Pass Shelterに行く予定。ここもあまり詳しい情報はなかったが、現地に行けばガイドが案内してくれるとあるので、ちょっとゆっくり目に出て10時半くらいに着く。

 

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途中の道はかなりの悪路で、しかも昨夜からの雨でドロドロになっている。オフロードに入ると、一カ所ぬかるみがひどい。タイヤをとられる。

雨が降ると一気に気温が低くなり、とても夏とはいえない感じだ。東京の11月中旬くらいか? 朝は気温一桁代まで落ちることもあるようだ。

受付に行き、「岩絵を見に来ました」というと、「え?」という顔の女性。「今日は天気が悪いからやめた方がいいです」と。そうは言ってもわざわざ遠くから見に来たのだから、天気悪くても仕方ない、山歩き用の靴も雨具もちゃんとあるから、と言うと、もじもじしていて、電話をかけているが、「ガイドも今日は帰ってしまいました」とのこと。なんとあきらめの早い。明日、明日は? 明日も予備日としてとってあるから、明日はなんとか頼みますよ、と。明日も雨の予報だけど。

結局、雨が降っていても、よほどのことがないかぎり朝9時に来てもらえれば案内します、という約束になった。一抹の不安はあったが、「必ずね?」「はい、必ず」というので。そもそもこの季節は雨降りが半分なのだから、雨で中止は無いと思う。もう少し早く着いていたらたぶん行けただろう。

さて、この日は何をすべきか。昨日から泊まっている宿は鉄道の駅の近くの古い屋敷を改造したもので、部屋は別に悪くもないが、ずっといたいとも思わない。部屋にいるとたぶんテレビをずっと見てしまうことになりそうなので。スタローンばかりでてくるアクション映画専門チャンネルがある。

しょうがないので、最初に行ったGiant Castleに行くことに。さほど遠くない。

Giant Castleにも人はあまりいない。こんな日にわざわざ歩くのは予定がタイトな外国人旅行客くらいだろう。「今行けばすぐに案内してもらえるでしょう」的なことを言われたので、現地に行き、鍵が開くのを待つ。が、一向に来ない。ここは1時間ごとに開けることになっているが、どうも閉めたばかりのようで、雨の降る中、1時間近く待つことに。寒い。

 

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2時になっても出てこないので、大声で「まだですか〜? いるんでしょう? 待ってるんですけど。寒いからお願い〜」と叫ぶもしばし反応無し。

ようやく出て来たのは前回と同じガイドだった。え?また来たの?という顔。岩絵サイトでそういう顔を見るのは慣れている。パタゴニアの「手のひらの洞窟」など、三回行った。三度目にすれ違ったガイドがまるで亡霊でも見るかのような表情で私を凝視しつつ通り過ぎて行ったのを憶えている。だいたい、絵のたくさんある場所で40分程度で撮影なんて無理だ。1時間半から2時間くらい必要なのだ。

もう一度解説したからいいね、ということでいくつか気になっていたところを撮り直し、彼も今日はおしまいというので、一緒に戻る。

 

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「あなたは一人で来てるの?」

「そう、一人」

「家族は、その、一緒に寝る人はいないのか?」

などと言っているうちに受付に戻る。もう体が芯から冷えきった。

早めに宿に戻る。宿の案内を見ると、10号室の幽霊という話が。かつてここが屋敷だったとき、窓から身を投げた女性がいたそうな。「殺人か、自殺か」とか書いてある。今でも見たの見ないのという話があるようだが、この部屋はリクエストしたら泊まれる形式なんだろうか。勝手に割り振られても困るだろう。

仕方ないので、南アフリカとイギリス合作のB級SF映画を見て寝る。