コロンビア・アマゾン壁画紀行 その8

 ボゴタに戻り、そのまま帰国する日。

 ボゴタ行きの国内便が無い日でもあり、また、ちょうどボゴタとサン・ホセの中間にある町に面白いペトログリフのある岩があるので、ドライバーのダルウィンに交渉して車でボゴタまで行ってもらうことにした。

 地図で見た感じでは長くて8時間もあれば十分かと思ったが、ボゴタ周辺は常に混んでいるので10-12時間かかるという。夜11時過ぎの飛行機でメキシコ・シティへ飛び、ロスでトランジットして成田へ。うんざりするほど長いが仕方ない。

 サンチアゴが自分も一緒に行くと言う。休みだし、是非行ってみたいと。早朝に出発した。サンチアゴはヒップホップやラップが好きで、大音量でかけるのだが、ラテン系のラップは派手というか、発語の大げささがすごい。運転手のダルウィンはサンチアゴと同じくらいの歳だと思うが、腕に十字架、それもちょっとゴスっぽい感じのものを入れていて、ラテン系の人にしてはあまり笑わない、クールな感じの人なので、メタル好きかな?と思いきや、彼がかける曲はライ・クーダーのアルバムで聞くような、アコーディオンの入ったクラシックなラテン系の曲で、これがなかなか良かった。もっとこういうやつを聞きたかったんだが、サンチアゴがすぐにラップに変えてしまう。

 サン・ホセからボゴタに続く道は国道で、幅も広く舗装も良い。これはGoogle Streetで見ていて、これなら自分で運転もできるかな?とも思ったのだが、コロンビアは国際運転免許証が使えない。

 

 途中比較的新しく森林を伐採して牧場用に開発されたように見えるエリアが続く。また、アブラヤシ畑も延々と続いていた。少なくともこの国道沿いのエリアには森林はほとんど残っていない。世界のいろんな場所で起きていることかと。

 

 

 北西に150キロほど走り、グラナダの町で西へ向かう道に入り、レハニアスの町で川を渡って山に向かうと途端に細いオフロードになる。川を越えて小高い丘に上がるとピエドラ・ゴルダの岩がある。

 

 

 底面が20m X 23m、高さ7mの岩山の上部にペトログリフが刻まれたている。115の彫り物があるという説明をしている紹介文を見たが、モチーフは繋がっていて、いくつ、と数えられるようなものでもない。

 ペトログリフは同心円、格子模様、波形、ジグザクなどの抽象的なものがほとんどだ。ひとつ虫のように見えるものもあるが、何なのかわからなかった。年代も全くわからないものだが、Meta州には他にもペトログリフがある。

 

 

 写真を見て想像していた以上に複雑な模様が刻まれていて、なかなか面白い岩だった。これがどういう意味のあるものだったのか知る吉もないが。

 岩の隣には売店と簡易なキャビンがあった。農家が営んでいるもので、私が日本から来たというと、新しく作ったキャビンを見てくれ、バナナをあげよう、アボカドも上げようか?など、いろいろサービスしてくれた。

 

 

 

 レハニアスの町で昼食をとり、後はボゴタまだひたすら走る。ボゴタへ入るには山岳地帯を越えねばならない。標高3000メール級の山々だ。空港に着いたらすぐにチェックインせねばならないので、荷物をできるだけ整えるが、マスクが見当たらない。アビアンカ航空はマスクなしだと搭乗させないのだ。仕方ないので、道沿いの売店で尋ねると、売っていると。おそらくコロナ以前にはマスクなんて触ったこともなかっただろう。

 マスクを売っていた売店は高速のSAみたいなもので、御菓子や飲み物や軽食など、いろんなものを売っている。サンチアゴとダルウィンは牛肉や鶏肉を焼いたものを袋いっぱいに買って、モグモグやっている。「食べる?」と。食べん。さっき昼ご飯食べたばっかりでしょ。

 ボゴタのエリアに入ると心配したとおり道が詰まり始めた。早めに出ておいて正解だ。空港に着くと、サンチアゴがスーツケースを持ってどこかに行くような姿を撮影してほしいと。「グッバイ、コロンビア」と友達に送っていた。

 慌ただしい日程でなかなかにしんどかったが、内容の濃い滞在だった。次回はなんとか方法を見つけて是非チリビケテ国立公園にも入ってみたい。メキシコ、ロサンゼルス経由で帰国する。