シド・バレット訃報

新聞にシド・バレットの訃報が乗っていた。60歳だったという。死因は不明だそうだ。糖尿病を煩っていたらしい。
ビンク・フロイドのデビューアルバムと二枚のソロアルバムを作り、精神を病んで音楽界から消えた人だ。30数年間全く活動していなかった人であるにも関わらず、新聞に訃報がのるのだな、と、感慨深かった。
この人の曲の魅力をどう表現したらよいかわからない。不思議な声だ。素朴で牧歌的で、白日夢のようにおぼろで、極彩色の悪夢のようなスリルがあって、回転の狂ったプレイヤーのように調子外れだ。なんてヘタクソな歌なんだろうと思いつつ、たった数行の詩をどうしたらこれほど印象的に歌えるのかと、不思議でならなかった。何度聞いても核心にふれられないような、いつまでも気になり続ける音楽を残した人だ。磨かれた貴石のように奇麗で、どこを見ているのかよくわからない、独特な目をした人だった。

(そういえば、25年くらい前に新宿のレコード屋で、シド時代のピンク・フロイドのブートレッグを買った。ラジオ音源などを集めた酷い音質だったが、ヴェジタブル・マンという他で聞いたことのない曲が入っていた。できればもう一度聞いてみたいと思う。どなたか、この曲の入ったCDなどご存知の方がいらしたら、是非お教えください。)


Isn't it good to be lost in the wood?