コルシカ島の音楽

ホワイトカラー・エグゼンプションは年収900万以上に修正して提出されそうだ。経団連はあくまでももっと低い水準からにしたいようだから、一度通ったら消費税の課税対象のように、数年後に修正可能性もある。アベ総理はこの法案が通ったら残業が減って、若い夫婦は子づくりに励めるというような発言をしていた....呆れてものも言えません。

さて、全然関係ないが、昨年聞いたサルディーニャ島の歌手エレーナ・レッダのアルバムが滅茶滅茶良かったので、隣のコルシカ島はどうなのか?と、いくつか聞いてみた。コルシカ島はフランス領なので、「隣」という言い方はあまりにおおざっぱかとは思うが。コルシカ島の伝統音楽というと、先ず「混声合唱」ということになるようだ。10年ほど前に伝統的な混声合唱を現代的にアレンジした「Les Nouvelles Polyphonies Corses」というアルバムを聞いていた。プロデュースはエクトール・ザズーというフランス人で、最近まで気づかなかったが、70年代にZNRという電子楽器を使った気持ちいいような悪いような室内音楽のユニットをやっていた人だ。ここ10年ばかりエスニック・サウンドのアレンジとプロデュースで有名になっているようだ。この10余年ほとんど新しい音楽作品を聞いていなかったので、ちいとも知らなかった。ZNRは結構好きだったが、このコルシカ島混声合唱のアレンジは全体に環境音楽的で、細かい音遣いは実に繊細で良く出来ているのだが、どうも物足りなかった。全体にホワーンとリヴァーヴがかかっていて、気持ちいい音ではあるんだけど、もっとフォーク・ミュージックとしての骨の太さというか泥臭さがあってしかるべきなんじゃないかと感じて、あまり聞いていなかった。坂本龍一が入っているのもゲェーーだった。最近になって聞き直して、音作りの古さというか、80年代後半のアンビエントサウンドっぽさがさらに気になってしまった。このLes Nouvelles Polyphonies Corsesというユニットがもう一枚アルバムを出していることを知った。しかもプロデュースは今度はジョン・ケールで、なんとパティー・スミスが参加している! これは聞かねばと、早速購入したが、うーむ。無伴奏のものが多く入っているが、楽器が入っているものはなんだか1作目とあんまり方向性が違わず、どうにも物足りなかった。今度のは宗教曲を集めたもののようなので、聖堂の中で歌っているのを廊下で聞いているような残響感はぴったりなのかもしれないが、どうしてもっと発声の力強さが感じられる音にしないんだろうかと、期待が大きかっただけに物足りなかった。それにパティー・スミスは合唱が始まる前に自分の短い詩を朗読してるだけで、どういうつながり方なのか、いまいちピンとこなかった。
このユニットの女性ボーカル3人がつくった少しポップなボーカル・トリオがSoleddonaだ。そっちの路線の方が好きかもしれないと思って聞いてみたが、ちょっとアレンジがあまりに工夫のない歌謡曲調で、声はいいんだけど、やっぱり物足りなかった。では、さらにポップであろうイ・ムブリニはどんなもんなのかと聞いてみたらば、これがなかなか良かった。スティングといっしょに演っている曲は特に面白くなかったが、後半に入っている伝統的なポリフォニーのスタイルの曲がとても味のある歌声で、引き込まれるものがあった。スティングとかと出会う前のアルバムも聞いてみたい。

Les Nouvelles Polyphonies Corses In Paradisu Marine (15 Titres) フィールズ・オブ・ゴールド