エレーナ・レッダ

lithos2006-08-05

サルディーニャ島の女性歌手エレーナ・レッダElena Leddaの2004(5?)年のアルバム『Amargura』は本当にいい作品だった。一時は日に何度も聞くほどエレーナ・レッダ漬けになっていたので、まだ聞いたことのなかった『Maremannu』という2000年のアルバムが届くのを楽しみにしていた。が、届いてみたらば、全体にどこか散漫というか、アレンジが今ひとつぱっとせず、どうにももの足りない。『Amargura』に収録されていたものと同じ曲が二曲入っていたが、アレンジが違うと随分印象が違うものだ。歌声はもちろんとてもいいのだが。
エレーナ・レッダはサルディーニャの伝統音楽をベースにした歌手で、『Sonos』『Incanti』といった民族色の濃いアルバムは以前から聞いていて、とても好きだった。『Amargura』はエスニックなスタイルは残しつつ、全体にかなりポップな仕上がりになっている。アレンジはアコースティックな楽器を中心にした比較的シンプルなものから、重厚なストリングス、管楽器が多く入ったジャジーなスタイルと多彩だ。それらがとても良く練られた印象があって、彼女の歌唱の力強さ、表現の幅の広さを巧みに引き出している感じがする。イタリア盤なので、歌の内容はさっぱりわからないのだが、実に情感豊かな歌いっぷりで、全体を通してひとつの長い物語を聞き終えたような醍醐味がある。滅多にない名盤だと思うのだが、マイナーレーベルなのかAmazonにはラインアップされていない。HMVで買えるようだ。日本盤も出ていた『Sonos』などでみせた伝統的な歌唱のスタイルとは距離があるので、そうしたものを求める人にとってはポップに過ぎるというか、「歌謡曲」的とも言えるかもしれないが。

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