自由研究

土壇場になって子どもの夏休みの宿題を手伝うなんて漫画の中のイメージしかなかったが、まさか自分がやる羽目になるとは。
いや、手伝うというか、「指導」だけど.....。自由研究とやらに昆虫の観察記をするというので、死んだカブトムシをスケッチ用にとっておいたのに、無くなっている。
「おい、あれはどうした?」「あれって?」「観察用にとっておいたカブトムシだよ。お前、あれで絵を書くって言ってただろ?」「あれは変な臭いがしたから埋めた」「何ぃー?、んじゃあ、観察はどうするんだ? もう雄のカブトはいないじゃないか?」「あ、そうか」「おまえなぁ、明日までにやらなきゃいかんのに、どうすんの? 何もやってないじゃないの」「だって臭かったんだもん」「臭いをかぐ必要はないだろ」「はいはい」「じゃあ、家の庭にカマキリがいるからカマキリの絵をかけよ」「はいはい」「カマキリの胴体はそんなに短くないだろ」「はいはい」「足が頭から出てるのはおかしいだろ」「はいはい」「よし、次はバッタだ」「え? まだかくの?」「決まってるだろ。自由研究がたったの一枚なんてことがあるか?」「えー、できないよぅ」「いいからやれ」「どういう風にかけばいいの」「見たとおりかけばいいんだよ」「見てもわかんないよ」「いいから好きなようにかけよ。おまえ、虫が好きなんだろ」「虫を捕るのが好きなんだもん」「ゴチャゴチャ言ってる暇があったら、手を動かすんじゃ!」。
結局、最後は泣きべそをかきながらなんとか仕上げたのだった。どこが「自由」研究なんだか。
娘の課題のこともあり、今年は森であれこれ虫を細かく見た。スズメバチを捕らえたばかりのカマキリと目があってしまった。翌日はオスのカマキリの亡骸を足に刺しているメスのカマキリを見た。怖い。