アフリカのお面など

9月9日の日記にも書いた、アフリカのヨルバ族の美術品を集めた企画の案内が、ボストンにあるアフリカ美術専門のギャラリー、Hamill Galleryから届いた。写真の衣装はegungunと呼ばれる、祖霊神のための衣装らしい。My Life in the Bosh of GhostsのGhostsはこんな絢爛たる、サイケな衣装を纏っているのか。ここ数年、アフリカやオセアニアなどの民族美術(今はTribal Artと呼ばれるようなので、「部族美術」というべきかもしれない)関連の本をあれこれ見てきたが、とても奥深く、興味がつきない。ハミル・ギャラリーはオンラインでも商売しているアフリカの民族美術のギャラリーとしては最も充実している。
http://www.hamillgallery.com/index.html
過去の展示品なども、部族別、ジャンル別に、仮面、彫刻、織物、貨幣、鍵、扉、などなど、非常に多くデータが蓄積されていて、下手な展覧会などより、よほど見応えがある。かねてから指摘されてきたことだが、ヨーロッパの近代美術がいかにアフリカ美術に影響をうけてきたか、とてもよくわかる。影響というより、そのまんまじゃないか! と言えるものも多い。モジリアニの彫刻など、Fang族の面そのものといっていいので、興味のある方は是非ハミル・ギャラリーの該当頁を見ていただきたい。抽象画も例外でない。クレーの絵にそっくりな染め物もある、いや、もちろん逆なのだが。淡交社から出ている『20世紀美術におけるプリミティヴィズム』を見ると、そのへんの「いただき」具合が非常によくわかり、面白い(すごく高価な本なので、ちょっと手が出ないが)。

我々の世代で、もうひとつ楽しめるのは、子どもの頃見た「ウルトラマン」や「ウルトラセブン」の宇宙人の原型探しだ。成田亨のデザインした宇宙人の顔のアイデアがあちこちにみつかる。以前ハミル・ギャラリーから買ったコンゴのSongye族のお面(下左)など、それらしい。部族名は忘れたが、ウルトラマンにそっくり(いや、逆です)な面をebayで見つけ、思わず落札してしまったことがある。ウルトラマン弥勒菩薩と聞いていたが、やっぱりアフリカだったのか、と、納得したのだった。これは白石雅彦さんに著書『円谷一』の刊行記念に進呈した。私が持つよりもずっと相応しいかなと思ったので(大きくて迷惑だったかもしれないが)。ところで、世界で一番ユニークなお面は、やはりyoruba族の「おっぱい仮面」だ。これを被っている人の写真は見たことがないが、マグリットの絵にちょうどこの面を被ったような、顔が女性の体になっている肖像画がある。永井豪の「ハレンチ学園」にも「おっぴゃい先生」という似たようなキャラクターが登場していたように、かすかに記憶しているが....。

     円谷一―ウルトラQと“テレビ映画”の時代