ガリガリ君とグァテマラ大統領選挙など

涼しくなってきたが、向かいのファミリーマートで「ガリガリ君」を買う習慣が抜けきれず、今日も一本食べたところ、何とバーに「一本当たり」の表示が! まだこういう制度(?)があったのか。
ガリガリ君」は赤城乳業なのだ。懐かしい名前じゃないか。子供の頃は「赤城しぐれ」というかき氷がカップに入ったものが大人気だった。今はコンビニなどでかき氷を売っているせいか、とんと見かけない。(向かいに住んでいた実くんは「あかぎしぐれ」と発音できず、「あかいしうれ」と言っていたが、達者で暮らしているだろうか)。

ウェブのマヤ遺跡のページを完成させるべく、6年前に訪れたグァテマラの写真の整理をはじめた。仕事場の建物はヒビなどが入ってきているせいか、非常に湿気が強いため、うっかりしているとカビが生えてしまう。この際、フィルムで撮ったものを全てスキャンして保存することにした。
グァテマラは一人で周遊したが、出発前に無理しすぎたため体調が最悪で、着いた日の夜、身体中に発疹が出て仰天した。北部の遺跡ティカルが信じられないくらい暑かったこともあり、最後までフラフラしていたような気がする。
先日行われたグァテマラの大統領選挙の終盤戦で、ノーベル平和賞のリゴベルタ・メンチュウが苦戦しているという報道があったが、結果は中道右派のアルバロ・コロンという人がトップで、11月に二位のオットー・ペレス・モリーノと決戦投票だという。モリーノは元軍人で、軍事政権時代の弾圧への関与が取りざたされているらしい。リゴベルタ・メンチュウはわずか3%ほどしか得票できなかったようだ。最近は中南米の国政選挙にもアメリカの選挙コンサルティング会社の進出が目立つらしい。選挙のたびに国から国へと渡り歩くコンサルタントも少なくないようだ。
http://www.news.janjan.jp/world/0708/0708150875/1.php
上の記事にはメンチュもこうした選挙コンサルタントと交渉したが、資金不足で契約するに至らなかったとある。20万ドルというから2500万円くらいか。グァテマラ先住民主体の団体に推されて出る彼女にとっては容易な額ではなかっただろう。

日本でも郵政選挙のときは民主党がフライシュマン・ヒラードというアメリカのコンサルティング会社にPR戦略を依頼していた。全く成功しなかったけど。また、同選挙の投票日直前に小泉がアメリカの広告大手BBDOの会長アレン・ローゼンシャインと(5分間だけど)会談したことが話題になった。選挙がらみだったかどうかわからないが、自民党はBBDOのクライアントのひとつだったようだ。
http://www.isbbdo.co.jp/
この日本法人には読売新聞、日本テレビテレビ朝日の役員が社外取締役監査役に就任している。実はBBDOも民主党の仕事を受けていたフライシュマン・ヒラードも、オムニコムグループという、世界最大の広告会社のグループの傘下なのだそうだ。
http://www.fleishman.co.jp/about/group.html
このためみんなで寄ってたかって(民主の仕事を受けていたフライシュマンさえも)小泉の圧勝を演出したという陰謀論めいた憶測も流れた。フライシュマンが民主がわざと負けるような仕事をして.....というのはちょっとどうかと思うが、結果的にメディアの全面的な宣伝合戦が圧勝をもたらしたことは確かだ。先の参院選でも宣伝関連に自民・民主の両方を足して68億円の金が使われたとも言われているらしく、PRに莫大な金が使われる時代に、どちらが勝っても広告関連、メディア関連は儲かるようにできている。

6年前にグァテマラを訪れた際、ガイドをしてくれたのは20代半ばくらいのブロンソン君という青年だった。会話の端々に国内の貧富の格差に対する憤りが滲んでいたので、リゴベルタ・メンチュウをどう思うのかと聞いたところ、「リゴベルタ? ああ、彼女が話していることは正しいと思うけど、でも彼女はなんで今グァテマラに住んでいないんだ? 何故外国でベンツに乗って悠々と暮らしてるんだ?」という苦々しい反応だった。「外国では有名なのかもしれないけど、俺たちの生活とは関わりが薄いんだよ」というニュアンスだった。彼女が彼が言うように「ベンツに乗って悠々と」暮らしていたかどうか、私は知らない。グァテマラに住むにはかなりの危険を伴ったのではないかとも思う。だが、彼女の国内的な評価と世界的な評価にとにはかなりの隔たりがあるらしいことは感じられた。今回の選挙で、彼女が先住民の票もごくわずかしか獲得できなかったのは、資金不足ということだけではないのだろう。また、メンチュウ陣営の選挙運動を妨害する行為があり、候補、運動員などにかなりの死者が出たという。メンチュウ陣営だけでなく、全体でみると昨年から数えて死者は40人に上るというので、この国の混迷は未だ深い。
http://www.boston.com/news/world/latinamerica/articles/2007/08/09/bloodshed_hits_guatemala_election_campaign/

ブロンソン君の話で印象に残っているのは、「グァテマラの富はごく一握りのファミリーにほとんど掌握されているんだよ。あんたの国では考えられないだろ?」という言葉、それから、彼が日本人の娘と友達になったが、彼女の父親は日本企業の管理職で、ある日父親に呼び出されて、「ブロンソン君、娘と付き合うことは認められない」「娘はグァテマラ人とは結婚させない」と言われたという話だった。「結婚だなんて、俺は単なる友達で、そういう付き合いじゃなかったんだけど、すごく不愉快だったよ」と。