冬至のニューグレンジ/ブルース・コバーン/ジョイ・ディヴィジョン

昨年の冬至の朝のニューグレンジ内部の映像がYoutubeにアップされていた。快晴だったようで、入り口と明かり窓から光りが差し込む様子がよく写っている。

一方こちらは同日の夕方の、スコットランドオークニー諸島に残る墳墓、メーズ・ホウの石室に夕日が差し込む様子。オークニーも晴天だったようだ。

マヤ遺跡チチェン・イッツァのピラミッドに春分秋分の日に出る影の蛇とか、ストーンヘンジ夏至の日の朝日とか、この手のイベントを一度見てみたいとは思うが、何処もとんでもない人出のようで、おそらく大変な喧噪で人を見に行くような感じに違いない。



東京に久しぶりに雪が降って、娘は大喜びで家を飛び出して行ったようだ。そういえば、私が今の娘くらいの時分に、4つ年上の姉が「雪と戯れる無邪気な弟を優しく見つめる私」、というような作文を書いて大いに褒められ、どこかの印刷物に掲載されたことがある。日頃そうした「慈愛に満ちた眼差し」には覚えがなかったので、「なぁーんかこれはいつもと違うんじゃないの。僕を利用してんじゃないの」と幼いなりに釈然としない思いを抱いたのだった。
白く化粧した木々や河を眺めつつ仕事場に向かい、こういう日には是非ブルース・コバーンの”HIgh Winds White Sky"を久しぶりに聴いてみることにする。
最近紙ジャケで再発されたが、このアルバムは外側がモノクロの雪景色、内ジャケがカラーの雪景色、20頁のブックレットがついていて、これも全ての頁が雪景色という徹底ぶりだった。眺めながら聞き進むと静謐な世界を自らもゆっくりと旅しているような、また、どこか遠い記憶の中の風景を巡っているかのような気持ちになる。こういう体験はダウンロードで音楽を聴くという手法では得られない。最後の曲に入っている、冷え切った空気に響きわたるかのようなハンマー・ダルシマーの音が厳しくも美しい。
High Winds White Sky

雪景色のジャケットというと、70年代末のイギリスのバンド、ジョイ・ディヴィジョンのAtmosphereという曲の12インチシングルジャケットも思い出す。ずっと前に手放したが、雪原の写真だった。このバンド、非常に内省的な内容の曲が多く、ボーカリストイアン・カーティスが自殺してしまったため、暗いバンドの代名詞のように語られるが、当時の私には、その独特な孤独感が結構気持ち良かった。絶不況で先の見えない感じだった当時のイギリスの雰囲気などは分かろうはずもなかったが。今の日本の方が通じるものは多いのではないだろうか。希有なバンドだったが、近々、イアン・カーティスの伝記的映画「コントロール」が公開されるらしい。
http://control-movie.jp/