原石の切断と当世石屋事情

瑪瑙を切るカッターを持っているのだが、円形の歯の直径が20センチほどで、直径10センチを超える原石は切れない。もっと大きな切断機はどんなもんだろ、と、調べたら、アメリカにはいくつかのメーカーがあり、個人向けに販売している。単純な機械なので、値段は新しくアップルのコンピュータとモニタを買うのと大して変わらないくらいなのだが、重さが100キロ近くある。これを海外から送る送料ってのは....すごいことになるんだろう。さらにそんなに重たいものを自宅には設置できないし、仕事場は空いている場所はあるのだが、石を切るときの音ってのはとんでもなく大きいので、難しい。苦情が殺到しかねない。
安く切ってくれる業者はいないかと一昨年の国際ミネラルショーのカタログなど見ていたら、仕事場からそれほど遠くないところに加工を請負う業者があるようだ。何度か電話したが、いつも留守電だ。どこか出張中なのかな、と思っていたが、先週末、ようやく電話がつながった。
「原石の切断などはお願いできるんでしょうか?」と訪ねると、すでに半分引退して、仕事の請負はしていないのだそうだ。
さらに、「この商売、日本の業者はもう壊滅状態です。仕事しても赤字になるだけです。高校生のバイト代にもならない。」と、堰を切ったようにお話になる。私を、新しく貴石・半貴石の宝飾加工を仕事にしようと思っている者と誤解したのかもしれないが、いかに金にならないか、詳しく聞くことになった。
もちろん、私はそれを商売にしようとは思ってないし、ただ石を切ってくれる業者さんを探していただけなのだが。
おしまいに、仕事場の近くに一件、業者さんを知っていると、場所を教えてくれた。
大きな石の切断というと、墓石をつくる業者が多いと思うが、瑪瑙は硬いので、時間もかかる。以前、嫁が石材屋におおまかな金額を訪ねてくれたことがあったが、石の値段よりも高くつくくらいの金額で、とても頼めるような話ではなかった。
やはり、自分で切るしかないのか。
かつて甲府には加工業者がたくさん集まっていたという。やはりコストの問題で産業としては成り立たなくなって、今はあまり残っていないようだが、今度、甲府の商工会議所にでも問い合わせてみるとしよう。