ドゥシャン・カーライ展

板橋区立美術館にスロヴァキアの画家ドゥシャン・カーライ展を見に。

カーライは童話絵本画家として有名で、日本にもファンが多い。最近はアンデルセンの全ての作品に挿絵をつけた大判の3巻本を完成させた。
一方、エッチングでは昆虫、機械、幾何学的な立体モチーフ、鳥類のイメージなどが複雑に交錯したシュールな作品が多く、私はどちらかというとそちらの作風が好きだ。
童話絵本画家と後者のテイストが絶妙に融合しているのが、キャロルの「不思議の国のアリス」と「鏡の国のアリス」で、邦訳書が長らく品切れになっているのがもったいない。

絵本の原画、エッチングに加えてかなり大きな油彩なども来ていて、なかなか見応えがあったが、彼が受注仕事として切手の原画など描いていたというのも面白かった。魚やキノコなどの細密画もある。

同時に、カーライの美術学校の生徒であった作家たちも紹介され、嫁も私も大ファンの出久根育さんの原画も数点展示されていた。
見応えのある企画だった。

一階の売店で嫁がカーライのサイン本や切手を買ったが、私はTereza Ricanovaという人の絵本が気に入ってしまった。バオバブというチェコの出版社から出ているクリスマスの絵本で、絵だけ見たらメキシコの民衆画そのまんまなのだが、どうもチェコ人らしい。メキシコの奉納画であるレタブロの様式に沿ってかかれた絵のハガキなどもあったので、やはりかなりメキシコの民衆画に影響を受けた人なのだろう。テレサジーチャノヴァーと発音するらしい。

不思議の国アリス

不思議の国アリス

鏡の国のアリス

鏡の国のアリス