蛭は寝たかな

年末進行の忙しさがちょっと一息ついたので、夏にヤマビルに追われた群馬の山に行く。
家族を誘うも、「行ってらっしゃーい」とのこと。娘はよほど蛭が恐ろしかったようで、絶対に、二度と、何があっても行かないと。私もかなり恐かったので、わからないでもないが、短い時間で沢で拾ったサンダーエッグがなかなかよかったので、どうしてももう一度行ってみたかった。
12月ともなればヤマビルは休眠しているはずなのだが、いかんせん不安だ。できれば忌避剤を持って行きたかったが、仕事の間隙を縫って急きょ行ったため、用意する時間がなかった。なんでも「ひるさがりのジョニー」という、アホな名前の忌避剤がいいらしいんだが。

山道の入り口で車を止め、作業ツナギを来て、さらに上にカッパを着る。長靴とツナギ、軍手と袖口、襟口を全てガムテープで塞ぎ、「ヒルの野郎、これで入れるもんなら入ってみろよ!」と出発するが、いかんせん一人なので誰も笑ってくれない。

結局、装備は過剰だったようで、あれほどたくさんいたヒルはひとつも見かけなかった。沢を俎上し、最後に山肌の急斜面をジリジリと登りつつ流紋岩の球顆を拾ったが、これを下ろすのが大変だった。昨年津軽に行ったとき、「石集めは体に悪いから気をつけてね」と、ベテランの錦石ハンターさんに言われたことが腑に落ちる一日だった。

下に降りて共同湯につかる。受付のおばさんと話したところでは、11月以降はヒルはほとんど出ないようだ。それより熊が恐いと。もう冬眠していると思っていたが、まだ微妙な時期らしい。

サンダーエッグはオパールと瑪瑙が混じったものだが、母岩に比べると小さく、亀裂も多い。母岩の流紋岩は粗く、モヤモヤした模様のもので、オレゴン州ラッキーストライクマインのものなどに似ている。なんとなく全体に煩雑なかんじだ。