地震5

ここにきて随分気温が下がっている。被災地は日中も零度近い気温だった所もあるらしい。本当に厳しい。暖房機器、燃料など一刻も早く届くことを願う。

幼少時のイリノイ州の田舎のお隣さんだった友達が、メールをくれた。日本から脱出する予定があったら、自分のワシントンDCの家に来いよと。アメリカではかなり深刻な報道のされ方をしているのだ。でも、ワシントンDCって言われてもなぁ。

今日は3号炉へ、ヘリによる放水、自衛隊の放水車による放水が行われたが、効果はどうだろうか。ヘリからの放水はかなり拡散してしまったように見える。移動しつつの放水でかなり高い所からだったので仕方ないだろう。こうした危険な仕事に従事している人たち、その家族は大変な緊張と覚悟をもって臨んでいると思う。予備役にも招集がかかっている。感謝しなくてはいけないし、国には事後のケアをきちんとしてほしい。防衛相が「今日は限度であると判断して」と言っていたことに対し、NHKの解説者が「限度というのはどういう意味か。こういう大変な言葉を使うなら、もっときちんと説明を」という趣旨の話をしていたが、これは隊員の被爆量が限度内という意味だったんじゃないだろうか。ぎりぎりの状況だった、という意味ではないと思う。発表とそれに対するやりとり少ないので、憶測が多い。中性子線が計測されたという報道もテレビではその後の報道がないが、新聞では計測は一度ではなかったという記事を書いているものもある。それは単なる誤報だろうと言い切るテレビ解説者もいる。3号炉から昇る煙も、当初は火災による白煙であるはずで、使用済み燃料のプールからの水蒸気だったら大変なことなので、という論調が主だったように思うが、いつのまにか水蒸気であるということが既成事実として了解されている。もっと情報が共有・検証できる場はもうけられないのか。

米議会では4号炉の使用済み燃料の貯蔵庫にはもうほとんど水は無いだろうという観測が出ていたが、自衛隊機が目視で確認したところ、十分にあるようだということ。正確だとすれば朗報だが、上空を移動しつつの目視なので、確実といえるかどうか。もし、水が十分にあるとしたら、水素爆発を起こすはずはないのであって、建屋の損壊の原因は何なのかがわからなくなる。米軍の無人偵察機が数回上空を飛んでいるが、水があるかどうかのデータは得られないんだろうか。ともかく、だんだん各炉心、燃料プールの状態に関する具体的な報告が少なくなっているように思う。
一昨日の圧力隔壁の圧力の急激な低下というのは、数字の見間違え、あるいは伝え間違えによるもので、そうした事実は無かったということが今日になってわかったという。現場の混乱ぶりが伺えるが、とりあえずよかった。これで、格納容器への損傷があったにしては放射線量が高くなっていないという疑問は解消されたのかもしれない。では爆発音は何だったのか、わからないが。

米政府はは原発から半径80キロ以内の自国民に待避を呼びかけた。CNNでは東京の放射能値が4倍になったと報じるリポーターが。個人用の線量計を持っているようだ。日本の避難計画は大筋で特に変わりなし。屋外待避の指示を出すのはそれとして、そこに対して何のケアもできていないと聞いて驚いた。エリア内にかかっている市の市長がテレビ番組で訴えていたが、燃料や食料などを運ぶ車も、エリアの外で引き返してしまい、事実上孤立していると。結局自分たちで必要なものをエリアの外に取りに行かねばならず、屋内待避の意味もないと。これは公共機関がきちんと補助しないと、単なる放置になってしまう。二、三日ならともかく、一週間、さらに長く、ずっと自宅待避というのは非現実的だ。民間の物流がエリア内に入りたがらないというのはある意味しかたない。ドライバーが入りたくないというものを、入れと強制はできない。これは国がなんとかすべき問題だ。

テレビに出てくる専門家の意見は、ともかく今は安全、慌てないで、というものばかりで、バイアスがかかりすぎているなと思っていたが、今日テレビ朝日にかつて東芝原発の格納容器の設計をしていた後藤政志さんが出ていた。こういう番組に出るのは初めてではないだろうか。少し報道もトーンを変える準備なのかもしれない。後藤さんは非常に危険な状態であること、低レベル被爆も継続すれば無害とは言えない、等、言葉を選びつつ、かなり抑制的に話していた。

今日、私の自宅のエリアは午後3時過ぎから7時過ぎまで停電の予定だったが、結局消えることはなかった。都内はかなりの電力不足だったようで、突発的な停電の可能性もあったようだ。再び電車の本数を減らすべきだという議論が。昨夜は9時過ぎの電車に乗ったが、ホームには人が溢れ、車内は大変な状態だった。この際、自宅で仕事ができる人は移動しなくてもいいと思う。みんな出ているから自分もということがありがちな気がする。

夜の番組のほとんどが災害前と同じに戻っている。東電の会見も生で放映していたのはNHKだけだ。なんだか一気に緊張が解けているようで妙な気がする。が、今夜は久しぶりにニュースではなく、欽ちゃんの仮装大賞の傑作選を見て、大笑いした。これはいい企画だったと思う。コマーシャルだけはACのものが呪文のように繰り返されているが。さっさと電気を消して寝るべきだろうが、どうしても気になってニュースを見てしまう。


こんな最中だが、地震前に入札していて、そのままヤフオクで落札した活版活字のセットが届いた。創形のブックデザインの講義用だ。入っている字を見ると、会社関係のものが多い。見積、とか、請求とか....。大阪、堺とかの字もたくさん入っている。もうちょっと雰囲気のある字が入っていて欲しかった。二号活字だろうか(約28Q)ずっしり重い。業務用、しかもこれだけ大きな字が活版で刷られていたのは結構昔、70年代くらいかもしれない。30数年前(ちょうど福島原発が作られた頃)には、これだけの文字を刷るために、こんなに質量があったんだということを、講義では、実際に持ってみて実感してほしいと思っている。今年は5月に講義の予定があるが、その頃にはなんとか事態が落ち着いていてほしい。