コロンビア・アマゾン壁画紀行 その1

 昨年秋のサハラ行きに続き、コロンビアのアマゾン地域に壁画の撮影に赴いた。

 成田空港を17時55分に発った。昨年秋にアルジェリアに行った時は空港はガラガラで、店も閉まっているものが多かったが、コロナの入国規制が緩和されて、すっかり様子が変わっていた。外国人観光客でいっぱいで多くの飲食店で行列ができている。あいかわらずゲート前の待ち合いの席は一つおきに座るようになっているが。これからエコノミーで隣と密接するのにもはやあまり意味はない。来月から感染症の5類に引き下げられることになったので、こうした規制も無くなるだろう。

 コロンビアはユニークな石像が多く残る町サン・アグスティンに行って以来だ。その間に政府と最大の反政府組織FARCが和解し、多くの地域で武装解除したため大幅に治安が良くなった。身の代金目的の観光客の誘拐なども無くなった。今回壁画を撮影に行くSan Jose del GuaviareもかつてはFARCの支配地域で、資金源だったコカ栽培とコカイン製造が広範囲に行われていた。若い男子が誘拐されて組織に強制的に入れられたりなども行われていて、外部から容易に入れる場所ではなかった。

 これが数年前から観光客も多く訪れる場所になっていて、現地社会も急速に変わっている。数年前に壁画の写真を初めて見た時は、当分はそんなに簡単に入れるようになると思っていなかったが、変わるのははやい。さらに南のチリビケテ国立公園は現在でも入ることが規制されているが、ここには大変な数の壁画があり、こちらもいつか行けるようになることを願っている。

 

 

 ロシアのウクライナ侵略の影響による燃料の高騰で航空運賃が上がっているのに加え、円安が加わり、海外に行くコストは上がっている。それでも1ドル145円から135円台前半まで落ちてきたからまだいいのだが。

 今回、やはり英語でガイドしてもらう必要があったので、事前に現地では3つのツアー会社に連絡したが、個人ツアーにしてもらうとけっこう高い。宿泊・食事込みで一日あたり3万円弱となった。

 ツアー会社はメールを送っても返事は来ない。WhatsAppが一番確実な連絡方法になっている。これはインドネシアや南アと同じだ。メールはスパムだらけで機能が落ちてる感じがする。

 

 

 ロサンゼルスに午前10時代に着いて、ボゴタ行きは夜8時過ぎ発。長く待っていざ搭乗という段取りで機械トラブル発覚。45分遅れ、さらに20分遅れと案内があり、どうも飛ばないことになってしまったらしい。説明を聞いた前の方にいた客たちが一斉に動いていくので、後をついていくことに。

 こういうとき、ラテンアメリカ系の航空会社だと案内もスペイン語メインで英語もよく聞き取れないのが辛い。ゲートから延々歩いてチェックインカウンターに戻って並び直した乗客を前に、体の大きなavianca職員が驚くほど小さな声で説明。後ろの方から「聞こえませーん」「もっと大きな声で話してよ」などと言われるもさっさと立ち去ろうとするので、仕方なく列を離れて腕をつかんで「もっとはっきり、ゆっくり説明してくれないとわからないよ」と言う。

 翌朝8時まで延期になってしまった。aviancaは一種の格安航空会社なので、ホテルの保証などもない。泊まれば保険がきくとは思うが、たぶん4時間も寝られないだろう。それに検索画面に出た空港近くのホテルはみな一泊250ドル以上。仮眠するのに払うにはあまりに高い。

 aviancaの社員も「ごめんなさい〜」とか言うだけで何のアドバイスも無い。晩ご飯も食べていないが、新しいチケットを発行してもらうのに延々と並ばされ、見ていると店が次々に閉まっていく。ロサンゼルス空港ってオールナイトじゃないの? カウンターで職員に近くに食事できる場所は無いの?と訪ねると、20分歩いたところにファストフード店があるだけだと。20分。唯一飲み物とサンドイッチを売っている売店があり、片づけ始めていたので、あわてて「もう閉めたの?」と言うと、「そうしようかなって思ってるけど?」と東洋系の女性。ギリギリ飲み物とサンドイッチを買い、しかたないので空港内で過ごすことに。ベンチは例によってひとつずつひじ掛けがつけられていて横にもなれず。意地悪は世界各地に。

「ロサンゼルス空港 寝られる場所」で英語で検査してみたが、それらしいものはなく、エレベーター前に小さなカーペットが敷いてあるスペースがあるから、そこは横になっても少しましだよ、みたいな記事しかみあたらなかった。念のため隣のターミナルも歩いて見に行ったが、寝られるような場所はなく、戻って元のターミナルの椅子でうとうと。寒くてとても床には寝られない。

 翌朝は5時過ぎにセキュリティを通って、出発ゲートで少し寝る。ここには横になれる椅子があった。カフェも一軒だけ5時から開けていた。ロサンゼルスは昼は20度近くあったようだが、明け方は寒く、ダウンを着てても辛かった。砂漠の中にある町だったっけと納得。

 翌朝のフライトも30分くらい遅れたが、ボゴタに夕方に着き、ホテルに着いたのはもう夜。この日は早朝に着いて、近隣の町まで壁画を見に行き、黄金美術館にも行こうと思っていたが、全部パーになってしまった。辛い。

 疲れ果てて寝る。