タッシリ・ナジェール壁画紀行 その11

Tin Tekeltを出て、Ouan Benderに向かう。

 

 

途中動物学者のクーンが大きな声をあげた。チーターの足跡があると。雨が降ったことで土が柔らかくなって、くっきりと残っている。しかも並んで二頭歩いた形跡が。親子ではないかと。

チーターはアルジェリア南部全体でも生息数が70~140頭くらいだという。アルジェリア出身で何度もタッシリに来ているクーンが大声を出すほどだから足跡を見るのも珍しいのだろう。

 

 

Ouan Benderまでは約12キロだから、そんなに遠くないのだが。風邪のような症状がきつくなってきていて、歩くのもしんどかった。マグディが鼻スプレーをくれた。Ouan Benderでは2泊する予定だ。連泊はありがたい。

Ouan Benderはエリアの広さにしては、壁画の数は多くなさそうだ。だが、とても面白いものがある。まず、この何なのかよくわからないモチーフ。下に人物画が重なっているので、ちょっとわかりにくいが、人の体のようにも見えるので、コスチュームだろうか。それにしても頭らしきものがない。幾何学的なものが乗っているだけだ。(画像補正で鮮明化)

 

 

またすぐ近くにあったこの絵もとても面白いし、他で見たことのないデザインセンスだ。首の長い二体の動物が合わさったようにも見えるが、具象的なものに見えにくい。北欧の動物闘争模様のような、またはアール・ヌーボーのデザインのような。これもまた天才の残した絵だと思う。

 

 

さらにこの絵のすぐ近くの壁面に本当に奇妙な壁画があった。これもとても薄くなっていたので、帰国後にDStretchなどで補正して、その異様さが明らかになったのだが。

カエルのようなフォルムの狩人(戦士?)たちだ。中央には二人の人物があり、これは普通の人間に見える。右側には反対方向から走ってくるようなカエル人間が。これはいったいなんなんだろう。何らかの神話や物語を絵にしたものなのだろうか。線はとても絵がうまい人のそれに見えるので、このフォルムを意識的に選んで描いているとこは確かだと思う。手にはブーメランのような飛び道具を持っている。

 

 

面白い絵が多く、とても見ごたえがあるのだが、いかんせん風邪が...。調子悪い。早く寝よう、というか、だいたい7時半に食事を終えると、焚き火を囲んでいるわけでもないので、することもなく、皆8時ころにはテントに入るのだが。