タッシリ・ナジェール壁画紀行 その15

タッシリの台地を降りる日。昨年上がった道を下る形になるのだが、ラクダが降りるには急すぎるので、ロバに荷物を積みなおす。ラクダたちよ、ありがとう。

しかし、やはりロバの目にじっと見られると、「すみません...」という気持ちになるのだった。

 

 

標高1700mから約500mの下りだ。この日はただ降りるだけで途中壁画は見ない、と言ってはいたが、少しはあった。この女性像はフォルムがいい。

 

 

途中昼食をとったあと、私と英さんだけ違う筋を降りてしまった。

ずっと下まで見通せる所でも、先に行った人たちが見えない。

「もしかして道を間違えたかな」と。だんだん心配になってきた。道はちゃんとあるので、下に降りられることは確かだが、我々が別のルートを降りているということは知らせる手段がない。

どうするか...。本来の道の下り口まで、GPSを見ながら移動するしかないかな、と思っていたら、上の方から声が。ハンス・ペーターのお孫さんのエルマーだった。

「君らは違う道を降りてるけど、そのまま行って。降りたら待ってるように」と。彼はアメリカでフリークライミングまでやった人で、こんな程度の山歩きは何の問題も無いし、地図を見て、別のルートがあることを知って確認に来てくれたのだ。ありがたい。

結局、他のみんなが行った道とそれほど離れていなかったので、簡単に合流できた。

下に降りて、コーラが飲みたいね、などと話しつつしばらくして、車が迎えにきた。これで今回のタッシリのトレッキングは終わり。風邪をひいただけでなく、足の裏が痛くのがきつかった。次回こんな風に長く歩くときは、新しい靴で歩くのはやめておこう。

 

 

ジャーネットに戻り、シャワーを浴び、髯をそる。ただ、私と英さんにはもう一日ある。2週間ぶりにインスタントでない食事をとる。クスクスに煮た野菜と羊肉を乗せたものだ。おいしい。日本から持ってきたエビせんをみんなに食べてもらった。外国人に人気の菓子の第1位はエビせんらしいので。

エビせんが個包装されているのをみて、みな、「え?袋に入ってるのに、さらにひとつずつ包装されてるの?」と。これが日本です。過剰包装です。ただ、それを全て否定すると、自分の職業にもかかわってくる。

袋に「約18枚」という表示があったが、それを見たブルーノが、「え、年齢制限があるの?」と。