旅行

ユタ・アリゾナ壁画紀行 9日目

朝早くコーテズの宿を出て、メサ・ヴェルデに再び入る。メサ・ヴェルデはかなり標高が高く車で上がっていくとどんどん霧が深くなっていった。これは上で何も見えないのでは? この日は朝一番早いツアーで崖沿いの最大の住居跡「クリフ・パレス」と、「バルコ…

ユタ・アリゾナ壁画紀行 8日目

前夜はかなりの強風でテントのフライが飛びそうだったが、翌朝は気持ちよく晴れた。せっかくなのでもう一度シーニックロードを走る。前日はなぜか寄らなかった「ジョン・ウェイン」ポイントにも。上部が平らな岩山は一部細長く割れているのを手袋に見立てて…

ユタ・アリゾナ壁画紀行 7日目

最初の予定では、この日はモアブから東のコロラドに入り、アナサジの住居跡であるメサ・ヴェルデに行く予定だったのだが、その後で回る予定だったモニュメント・バレーが、ちょうど予定した日に自転車レースの開催で入場できないことを知り、急きょ先にモニ…

ユタ・アリゾナ壁画紀行 6日目

この日は壁画よりもモアブの近くのアーチーズ国立公園で奇岩を見る予定だった。自分の『奇岩の世界』に掲載した岩も複数ある。 アーチーズ国立公園は中に入る車の時間帯ごとの台数制限をしていて、私は国立公園の入場パスは購入していたのだが、時間ごとの予…

ユタ・アリゾナ壁画紀行 5日目

朝起きて車を見ると、もうタイヤはぺちゃんこになっていた。これで長い距離走ったらホイールもダメにしてしまうので、すぐ向かいにタイヤ屋があって本当にラッキーだった。 7時半頃にタイヤ屋の前に駐車し、店員が店を開けに来ると同時にパンクをすぐに見て…

ユタ・アリゾナ壁画紀行 3日目

朝早く起きて、ホースシュー・キャニオンに向かう。最後は約1時間のオフロードで、この道がコンディションが悪いときは通常の車では難しいとあちこちに書かれていたので4WDを借りざるをえなかったのだ。道は概ねすごく平坦だったが、一ヶ所砂漠のようになっ…

ユタ・アリゾナ壁画紀行 2日目

朝早めに宿を出てブライス・キャニオンに。 ブライス・キャニオンは侵食によってできた円形の陥没地で、細長い土柱が立ち並ぶ独特の景観だ。自分で編纂した『奇岩の世界』でも紹介して、一度行ってみたいと思っていた。円形の谷の外周を歩くコースや、下に降…

ユタ・アリゾナ壁画紀行 1日目

約2週間、北米のユタ・アリゾナに単独で壁画の撮影に行くことになった。6月は海外の研究グループに同行してボルネオ島に行く話もあったが、手続きが整わず、かわりに選んだのが北米だった。 北米は面積が広いからあたりまえなのだが、壁画サイトの数が膨大で…

コロンビア・アマゾン壁画紀行 その1

昨年秋のサハラ行きに続き、コロンビアのアマゾン地域に壁画の撮影に赴いた。 成田空港を17時55分に発った。昨年秋にアルジェリアに行った時は空港はガラガラで、店も閉まっているものが多かったが、コロナの入国規制が緩和されて、すっかり様子が変わってい…

タッシリ・ナジェールの旅 2日目

ジャーネットの宿に泊まって翌日は市内の壁画を見ることに。午前中はジャーネットの西を流れる川(干上がっているが)の対岸の岩場まで歩いていき、壁画や刻画を見る。アンドラスは市内の店に食糧などの買い出しに出て、別行動。 町のすぐ近くにあるので、落…

タッシリ・ナジェールの旅 1日目

今日からアルジェリア、タッシリ・ナジェールの台地に約2週間の旅程で出発する。2018年の11月にもタッシリ・ナジェールの麓の壁画サイトを周遊したが、台地の上はリビア国境のすぐ近くであることから、長く観光客を受け入れていなかった。リビアは相変わらず…

「先史時代の岩絵の世界」その5

先史時代の岩絵の世界第5回(最終回) ブラジル/「最初のアメリカ人」の謎 南北アメリカは人類が最後に移り住んだ大陸で、今から1万5000年以上前、私たちと同じモンゴロイドの一団が、アジアから凍結したベーリング海峡を渡って入ったのが最初だ──。こ…

「先史時代の岩絵の世界」その4

先史時代の岩絵の世界第4回 アルジェリア/「緑のサハラ砂漠」の記憶 アルジェリア東部、見渡すかぎり不毛の地が続くサハラ砂漠の真ん中に、2頭のキリンの絵が彫られた岩がある。砂と岩山しかない周囲の環境とあまりに不釣り合いだが、この絵はサハラの遠い…

「先史時代の岩絵の世界」その3

先史時代の岩絵の世界第3回 インドネシア・スラウェシ島/人類最古の絵はどこに? 「人類最古の絵」はどこにあるのか──。 これまで美術の歴史をたどる書籍などで、最初に紹介されるのは決まってラスコーなど、ヨーロッパの洞窟壁画だった。これらは主に約3…

南ア岩絵撮影行 その後

南アから戻ってから2週間以上経った。膝の怪我は近所の接骨医に診てもらったところ、骨が折れている、と。目白の整形外科でレントゲンを撮る。幸い、ヒビが入ってはいるが、浅く、ギプスまでする必要はないと。サポーターをつけて一ヶ月半くらいで治るだろう…

南アフリカ岩絵撮影行 2日目

時差もあり4時頃に目が覚める。朝からスポーツチャンネルでラグビーの試合をやっている。朝からラグビーは重い。 明るくなって車に荷物を入れに行くと、猿が二匹屋根の上をうろついていた。尾の長い顔の黒い猿だ。 ダーバンの猿 昨夜は若い女性が応対したが…

南アフリカ岩絵撮影行 1日目

東京から約27時間かけて南アフリカの東側の沿岸の町ダーバンに着く。エミレーツ航空でドバイ経由。ここのところドバイ経由が多い。ブラジル、アルゼンチン、アルジェリアとドバイ経由だった。感じも悪くない。夜のトランジットには無料のホテルがついてくる…

マルタ旅行-4

マルタの魚船はルッツと呼ばれる、青、黄、赤、緑とカラフルな塗装を施したものが多い。舳先には独特な目のレリーフがついているが、これは遙かフェニキアに起源があるともいわれる、魔除けなのだそうだ。 いくつかの船には舳先に人魚などの素朴な絵が書いて…

マルタ旅行-3

マルタには大規模な地下神殿がある。HAL-SAFLIENI HYPOGEUMは、マルタの遺跡の中でも最も謎めいていて、新石器時代の建造物としても傑出している。前世紀初頭、住宅の工事に伴って偶然発見された、複雑な三層構造の、地下10メートル近くまで達する神殿だ。中…

マルタ旅行-2

マルタの遺跡の中で、最も複雑な構造を持ち、彫刻や装飾にも最も見所が多いのが、タルシーン神殿だ。 が、現在見学できる遺跡の中の多くの部分が復元されたもののようで、どこまでがオリジナルなのかよくわからいところがある。 大きな石を組み上げた門をく…

マルタ旅行-1

マルタ共和国はマルタ、ゴゾの二つの島からなる小さな国で、総面積は淡路島よりも小さい。 マルタには、おそらく世界最古といっていい巨石建造物が数多く残っている。紀元前3500年頃から栄えた文明は、この二つの島特有の、周囲の土地に類似したものは全く見…

チュニジア旅行-8

ジェルバ島に二泊した。 旧市街から離れたリゾートホテルが並ぶエリアに泊まってしまったのが、よくなかった。旅行代理店には、旧市街=フームスークは夜は早く閉まってしまうので、かえって不便だと言われたのだが、子連れにはナイトライフなどあまり関係な…

チュニジア旅行-7

クサール・ギレンを起ち、マトマタに。この地域にはベルベル人の穴居住宅が数多くある。地面に大きな穴を掘り、さらに横穴を掘って部屋としている独特な住居だ。 家があることが遠目にわかりにくいようになっている。 洞窟状に掘り抜いた部屋は驚くほど涼し…

チュニジア旅行-6

アルジェリア国境からそう遠くない町タメルザは60年代、大洪水に呑まれて破壊されている。今も川岸に放棄された村の廃墟が残されている。町の骨組みだけが静かに風化しているが、モスクが二つ、まるで鎮魂の礼拝堂のように白壁も修復され、残っているので、…

チュニジア旅行-5

トズールのメディナは土産物屋も少なく、静かで趣がある。この地方の女性は伝統的には全身真っ黒い服を着ているが、青いラインが入っているものと、そうでないものがある。未婚、既婚のシンボル(どちらがどちらだったか)なのだという。「じゃあ、あの人は…

チュニジア旅行-4

サハラのオアシス都市トズールは想像以上に大きな町だった。国際空港もある。ナツメヤシ栽培が主産業だが、煉瓦造りにも伝統がある。独特な幾何学模様を作り出す積み上げ方で、メディナの壁も美しい。 舗装道路を外れて、四輪駆動車で砂漠をしばらく走ると、…

チュニジア旅行3

チュニス近郊のカルタゴ遺跡、ローマの遺跡を巡る。 Tophetは幼児の墓碑が集まる場所で、ギリシアの歴史家ディオドロスがカルタゴでは幼児を火に投げ込む生贄を行っていたという記述を裏付けるものとされてきたが、埋葬されているのが生贄に捧げられた子ども…

チュニジア旅行-2

チュニスの北20kmにあるシディ・ブ・サイドは白壁に青い扉、窓の町並みで有名な観光地だ。家屋だけでなく、ゴミ箱さえも青く塗られている。おそらく観光地として景観保全義務のようなものがあるのだろう。 観光地然としてはいるが、町並みも高台から望む海の…

チュニジア旅行-1

チュニジア旅行は約12日間。一般的には9-10日くらいのツアーで巡るコースを少しゆっくり辿った。嫁は暑さに滅法弱いし、私も出発前のハードな日々でヘロヘロになっていたので、正解だった。 首都チュニス、その周辺、古都ケロアン、南のサハラ砂漠地帯に下っ…

チュニジア、マルタから帰国

チュニジア、マルタから帰ってきました。 チュニジアは地中海沿岸から南に下り、サハラ砂漠を巡って、再び地中海沿岸へ。 マルタはヨーロッパ最古の巨石神殿の撮影に行きました。マルタの遺跡は修復中の部分が多く、フェンスや鉄骨で囲われ、あまり思うよう…